生存戦略(旧・ラングリッチ学習記)

ラングリッチのことと、日々なんとなく思っていることとかをぶつぶつつぶやきます。

ラングリッチとかオンライン英会話を経営的視点で見てみる。

今日は予定がつまっていてラングリッチお休みだけど,
ラングリッチ始めてから英語の勉強が楽しいし、いかに自分の考えを英語で伝えるかが大事だなと思い始めた

経営的視点で軽く見てみてもオンライン英会話ビジネスってなかなか大変だなあと思うところがあるのでメモ。
Twitterでつぶやいた内容を多少修正して、オマケも加えてます。


【オンライン英会話の経営上の課題について】

ラングリッチに限らず、すべてのオンライン英会話に言える点ではあるが、講師の確保と質の維持が実は最大の課題だと思われる。
ご存じのようにほぼ全てのオンライン英会話が低価格を売りにしている。
しかし、長くこの仕事を続けている講師にには当然昇給させる必要がある。

昇給させるにしても講師の質の強化にしても、人件費の高騰は間違いない。
しかもこのビジネスの性質上、一対一での講義が基本であるため、いくら講師の質を上げようが、1人頭の売上高は上がらない。
従って講師の質の向上が難しく、常に経験0~3年目の若い大学生講師を補充し続けることになる。

未経験であれば当然ある程度の講師の質の担保のために、研修を行うことになる。
この研修がミソだと思うが、「教え方は講師により様々でした」と言うようなサービスは、ろくに研修を行っていない可能性がある。
講師側も「日本人と英語でしゃべるバイト」と認識している可能性がある。


【オンライン英会話サービスの今後の戦略】

ほぼ全てのオンライン英会話サービスが低価格戦略で売っている以上、もはや低価格だけで競争に勝ち抜くことは不可能だ。
最低でも講師の質を保つための研修を充実させなければならない。
しかし研修はできても、経験年数の多い、教え方のうまい講師を確保すると人件費が上がってしまうというジレンマがある。
既に講師の質が相当バラバラなサービスも散見され、こういった業者の顧客満足度は低く、淘汰されるだろう。

講師の質は研修と実践→フィードバックでしか上がらず、低価格戦略にも限界がある。
そこで「講師に教え方を教える人」と「サービスの差別化」の二つが鍵となる。
前者については、「正社員で、日本人の英語ができない理由に精通しており、こだわりのメソッドを持っている」人間がふさわしい。
後者はやり方は様々あり得る。


【ラングリッチの差別化戦略】

ラングリッチは「講師に教え方を教える」「差別化」という意味で今のところ一歩抜きん出たサービスだ。
教え方や教材選択に関しては、社会人英語界のカリスマとなりつつある@HAL_Jさんの力も大きいのではないかと推測する。

ではラングリッチの具体的な差別化ポイントはなんだろうか。

まず教材選択に関しては、従来型のテキストの他に、CNNやVOAなどのスクリプトがあらかじめ指定されている。
この、あらかじめ指定されているというのが鍵だ。
無限にあるニュースから絞りこまれることで、講師は何度も何度もそのテキストに接することになり、次第に教え方がうまくなる。

仮に無限にあるニュースから選ばれたら、講師は絶対困るはずだ。
日本人が海外の人に日本語を教えるシチュエーションを考えて欲しい。
無限にあるニュースから、ある授業では「TPPについてどう思うか」と聞かれ、
ある授業では「モーツァルトの音楽は本当に幼児教育に効果があるのか?」と聞かれ、
ある授業では「ユーロ危機が何故起こっていて今後どうなるのか意見はあるか」と聞かれ、
ある授業では「日本のベンチャーの資金調達方法を教えてくれ」と聞かれる。
これが30分ごとにあったら、総理大臣の答弁より忙しいではないか。まともな背景知識を全てにおいて身につけておくのは不可能だ。
うっすい意見しか出てこないに決まっている。
これを1年続けたらいい経験になるのかもしれないが、発狂するのとどちらが先だろうか。

月にまあ30本ぐらいのニュースだったら、予備知識はテキストに触れるごとに多くなっていくから、対応が格段に楽になる。
背景知識や、深い内容のディスカッションができるようになる。教え方や、出てくる単語の説明も次第にうまくなるだろう。
だから、ニュースの絞り込みは講師にとって非常に重要だ。
「ニュース教材のあらかじめ指定」は講師の質を担保することと差別化を同時に達成できており、経営側もユーザーも満足できる素晴らしい仕組みだと思う。

さらにUIも使いやすく、最近はTEDも教材として追加された。これではユーザーは25分喋るだけでは満足できない(笑)
オンライン英会話業界で、差別化により一定の地位を確保しつつあるラングリッチ
同サービスに限らず、オンライン英会話が切磋琢磨して、日本人の英語力向上とグローバルプレゼンス向上に役だってくれれば良いと思う。


【「オフライン英会話」から恐らく出てくるであろう今後の戦略】
「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」とはよく言ったもので、対して今までの英会話はどういう戦略を取ろうとしているのか見てみたい。
イーオンやその他の教室通い型英会話スクールを、仮にオフライン英会話サービスと呼ぼう。

1.「オンラインでもオフラインでも料金は大して変わらないんです」的なアピールをする。
→この前AEONの広告を見ていたら、月々9,850円でなんちゃら~~ということがでかでかと出ていた。
ほう、最近のオフライン英会話はそんなに安いのか、と思って良く見たら、週1でそのお値段とかいうやつである。
よって、実質的によくよく考えれば大して料金が変わらないはウソだ。


2.「欧米人や日本人教師の方がメリットがあるんです」的なアピールをする。
→”フィリピンの母国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語と英語。80前後の言語があるそうで、タガログ語は最も主流な言葉”だそうである。
ただ、たいていは英語で日常会話ができるようではあるが。
ここで、「欧米で仕事をするなら欧米人の生きた英語を聞かないとだめなんです!」とか、
「日本人教師の方が、日本人の間違えやすいポイントに絞って教えられます!」とかで差別化を図っていくのだろう。

一理あるとは思うが、某総理ではないが、「英語はもはや欧米人だけのものではない」
英語はグローバル公用語であり、英語人口を見ると、欧米人よりも非欧米圏の人口のほうが多いのである。
したがって、別にもはや欧米人の生きた英語とやらを聞く必要がない。
むしろ欧米人に「だけ」通じない英語すら出てくるかもしれず、欧米人が「お前もっと英語勉強しろ」と言われる可能性すらあるんじゃないのか。

働く場所だってどちらかというと東南アジアに生産拠点を移す企業が多いから余計欧米の英語に合わせる必要がない。
グロービッシュという英語体系が流行っているのもその証明だ。

いずれにせよ、オフライン英会話が差別化してユーザーに訴求する内容をユーザーが気に入るのか?という問題だ。
言い換えれば、その差別化にはその対価を見合う価値があるのか?ということだ。
ここで言を尽くさなくても、その後の流れが証明してくれるだろう。

3.圧倒的知的レベル、圧倒的講師能力での差別化を図る
→ベルリッツがその好例だ。
ベルリッツは、例えば上智大学で非常勤講師をやっている外国人だとか、FBIからオファーが来たけど希望職種じゃないので断った外国人だとか、圧倒的な知的レベルを保った人間を確保している。
彼らの話題の範囲は広く、話のレベルが1ランク違う。本物だ。彼らは「おしゃべり」ではなく、「議論」もしくは「インタビュー」を望んでいる人間にうってつけだ。
ただ、高い。あの対価を払ってまでレッスンを受けるには、TOEICはすでに900~950ぐらいあって大学で勉強をしっかりやっており、日本語であれば日経新聞レベルのことであれば当然自分の見解をロジカルに言える、ぐらいのレベルが必要だと思う。
正直言ってそのレベルに達している日本人がどれぐらいいるのか。
したがってターゲットは狭く、ラングリッチとベルリッツは実質的に競合する部分が小さいと思われる。


【オンライン英会話がとるべき戦略】

先にも述べたように、オンライン英会話は講師一人あたりの売上高が一定以上にならない性質を持っている。
それは、マンツーマンだからだ。
であれば、マンツーマンでない英会話、つまり会議チャットをやればいいのではないか。
ユーザーから見れば、人気講師がすぐに埋まってしまうという問題点はこれである程度解消できるし、他のユーザーの発言は刺激になるだろう。
経営サイドから見れば、講師一人あたりの売上高を上げることができる。

問題は、講師陣全員が複数人を相手にできるほどのスキルを持っているだろうか?というところとか、
ユーザーによって英語会話レベルはまちまちであり、クラス分けやレベリングなどを行わなければならないということだ。

この辺解消できれば、しっかり多人数Skype講義が出来るようになると思うのだが・・・
マンツーマンレッスンでユーザーが複数の講師に点数を付けてもらい、それが一定程度高くなると複数人サービスを受けられるというのはどうだろうか。
ゲームのように、レベリング機能を導入するのだ。
そうすると、目標ができるから、がんばるぞーという感じになるような気がするのだが。
ま、未来の話ですかね・・・色々期待していますので、ラングリッチさん頑張ってください。